細胞形態の変化やバイオマーカーの挙動、遺伝子発現の変化を、組織構造中の位置情報とともに解析することで、その微小空間についての新たな知見が得られます。また、薬物等の生体内局在情報を組み合わせることで、その薬物の作用機序をより詳細に理解することが可能です。
メディフォードでは、組織切片上でタンパク質、遺伝子発現(mRNA)、低分子物質を解析する様々なサービスを提供しています。
質量分析イメージング(Mass Spectrometry Imaging:MS Imaging)とは、質量分析を用いた分子イメージング技術の一つです。対象とする低分子化合物の組織構造中における微細な局在を画像化して評価することが可能です。
特定イオンの信号強度とその位置情報から、2次元分布図を作成します。1化合物だけでなく、同一ポイントから代謝物やマーカー分子など複数化合物を同時に分析することも可能です。
ラジオアイソトープや蛍光標識などの標識体を使用せずに組織中の化合物濃度が測定可能であることから、創薬においてはターゲット組織中での薬物動態の可視化といった活用が期待されます。
当社では、FT-ICR*1型質量分析MALDI*2イメージングシステム(Bruker社、solariX 2xR)を用いた分析受託サービスを実施しています。
*1:FT-ICR:フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴
*2:MALDI:マトリックス支援レーザー脱離イオン化法
マイクロダイセクションとは、専用のレーザー照射装置を用いて、スライドに貼り付けた組織切片から目的部位(細胞集団)の輪郭をレーザーで切り出し、特定の領域のみを回収する方法です。例えば、組織病理切片から腫瘍部位を選択的に切り出すことで、正常部位と腫瘍部位の比較解析が可能になります。
回収した組織サンプルは、LC-MSやPCR、シークエンサー等により、ターゲット分子の濃度測定や遺伝子発現解析などに用いられます。不均一な細胞集団を用いた通常の解析に比べ、単離された目的細胞集団を用いた解析では、より細胞集団の違いを反映した結果が得られることが期待されます。
当社では、イメージング技術と遺伝子発現やタンパク質の定量解析を組み合わせた空間プロファイリング解析にも取り組んでいます。
NanoString Technologies社のGeoMx Digital Spatial Profilerは、組織切片スライドの蛍光顕微鏡画像から興味のある領域(Region of Interest: ROI)を指定し、その領域の遺伝子発現やタンパク質の定量解析を行うことが可能です。ターゲットとなるRNAまたはタンパク質を検出するためのプローブまたは抗体にバーコードオリゴが標識されており、指定領域のバーコードオリゴをUV照射で遊離させて、同社のnCounter Analysis SystemまたはIllmumina社のNGSシステムで検出・定量します。
免疫組織化学染色(Immunohistochemistry:IHC)は、微小構造が保持された組織サンプル上で、抗原抗体反応を利用して目的とする抗原を可視化する方法です。
非臨床・臨床領域では病理診断に用いられる他、創薬においても特定の評価マーカーの発現を評価する目的で利用されます。
臨床における病理組織学的検査はLSIメディエンスにてお受けします。非臨床における病理組織学的検査及び臨床検査で対応できない特殊マーカーの発現評価は当社メディフォードで対応します。組織ブロック・切片の作製、組織染色、バーチャルスライドの作製など、一連のサービスをご提供します。