開発中の薬物については、非臨床・臨床試験を通して、その薬物動態を評価する目的で、また、既存の薬物においても対照薬や治療時のモニタリングなどの目的で、生体試料中の薬物濃度が測定されます。
メディフォードでは、医薬品開発における非臨床PK/TK測定の他、臨床試験におけるPK測定等の薬物濃度測定を実施しています。
検証された測定法に従い、GLP(Good Laboratory Practice)に準拠して実施します。
ファーマコキネティクス(pharmacokinetics:PK)測定に関しては、非臨床・臨床を通してGLP認定ラボにて測定を実施しています。
トキシコキネティクス(toxicokinetics:TK)測定に関しては、毒性試験と同一のGLP体制の下に実施することも可能で、各種動物での豊富な経験を有しています。TK/PKパラメーターの算出や、マルチサイト試験への対応も可能です。血中動態試験の他、バイオアベイラビリティ試験、生物学的同等性試験、薬物相互作用試験等を評価するため、妥当性が適切に確認された測定法を用いて実試料測定を実施しています。
LC-MS/MS法やLBA(Ligand-Binding Assay)法を中心に、各種プラットフォームでの測定を行います。
LC-MS/MS法では、SCIEX社の高感度質量分析計、SCIEX Triple Quad 7500 LC-MS/MS System-QTRAP Ready等を導入し、高感度な測定サービスを提供しています。また、低分子物質に限らず、ペプチドや核酸といった中分子においても、従来機器を用いた測定法よりもさらなる高感度化が可能です。
LBA法ではMeso Scale Diagnostics(MSD)社のMESO QuickPlex SQ120を保有しており、電気化学発光(Electrochemiluminescence: ECL)法を利用した高感度測定を実施しています。タンパク製剤や抗体医薬といった高分子医薬品の測定に用いる他、核酸医薬品の分析ではHybridization assay法を利用した測定なども実施しています。また、自動化イムノアッセイシステムとして、Gyros社のGyrolab xP workstation を導入しており、LBA法の測定Wizard/Methodを多施設間で統一することで、国際共同治験における測定拠点のひとつとして選択頂くことも可能です。
抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)のような複雑なモダリティでは、遊離薬物(ペイロード)をLC-MS/MS法、抗体部分(または薬物全体)をGyrolabによるLBA法、抗薬物抗体をECL法で測定するなど、複数の分析プラットフォームを使い分けることで、それぞれに最適な手法で測定することが可能です。
医薬品開発において、投与成分の免疫原性を評価することは重要です。免疫原性とは、生体内で免疫反応を引き起こす性質のことで、代表的な免疫反応として抗薬物抗体(Anti-drug antibody:ADA)の産生が挙げられます。また、抗薬物抗体には、対象成分への結合能だけでなく、対象成分の有効性を低下させる中和活性を有する中和抗体(Neutralizing antibody:NAb)も含まれます。
抗薬物抗体の評価には、多段階アプローチがとられ、スクリーニングアッセイ、確認アッセイ、特性解析(中和活性、力価等の測定)などの順で評価が実施されます。
スクリーニングアッセイと確認アッセイには、MSD社のECL法を利用したBridging法や、共存薬物の干渉を低減させるために酸乖離処理を施したSPEAD(Solid-phase extraction with acid dissociation)法などがよく用いられます。
また、中和活性の測定には、細胞を用いたセルベースアッセイと細胞を用いない競合リガンド結合アッセイが知られており、当社ではいずれの方法にもご対応します。
当社では非臨床・臨床試験を通して、一連の分析サービスをご提供します。
精密質量分析計を用いた医薬品の代謝物検索試験受託サービスを実施しています。低分子のみならず、中分子(ペプチド、核酸)の分析もメニュー化しており、信頼性基準体制での対応も可能です。
被験物質のマスクロマトグラム、UVクロマトグラムにより代謝安定性を評価します。
予測代謝物の分子式のマスクロマトグラム、UVクロマトグラムによりプロファイリングを行います。
MSスペクトルの精密質量から代謝変化、MS/MSスペクトルパターンから代謝変化部位を推定します。
代謝物標準品と試料中の代謝物を比較し、溶出時間、MS, MS/MSスペクトルにより同定します。
凍結肝細胞を使用したプロファイリング及び構造推定のデータ例を掲載しました。
当社では、LC-MS/MS測定法による薬物相互作用物質・基質薬のヒト血漿中・ヒト尿中濃度測定や、既存薬のヒト血漿中濃度測定などをメニュー化しています。
P450 分子種 | 測定対象 | マトリックス | 抗凝固剤 | 検量線範囲 | 安定性 |
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CYP1A2 | カフェイン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 25~12500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
CYP2D6 | メトプロロール | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
CYP2C19 | オメプラゾール | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
CYP3A | ミダゾラム | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 0.1~50 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
CYP2B6 | ブプロピオン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃ 3箇月, -80℃ 12箇月 |
CYP2C8 | レパグリニド | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 0.1~50 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
CYP2C9 | R-ワルファリン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
CYP2C9 | S-ワルファリン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
トランスポーター | 測定対象 | マトリックス | 抗凝固剤 | 検量線範囲 | 安定性 |
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MATE1, MATE-2K, OCT2 | メトホルミン | ヒト血漿 | EDTA-3K | 5~2500 ng/mL | -20℃, -80℃, 3箇月 |
MATE1, MATE-2K, OCT2 | メトホルミン | ヒト尿 | - | 2~1000 ng/mL | -20℃, -80℃, 3箇月 |
測定対象 | マトリックス | 抗凝固剤 | 検量線範囲 | 安定性 |
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ドネペジル | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
メマンチン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 2~1000 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
リバスチグミン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 0.5~20 ng/mL | -20℃ 4箇月, -80℃ 12箇月 |
ラベプラゾール | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 0.5~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 6箇月 |
ガランタミン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 1~500 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
パロキセチン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 0.5~200 ng/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |
モキシフロキサシン | ヒト血漿 | ヘパリンNa | 0.05~20 µg/mL | -20℃, -80℃, 12箇月 |